今度は選んで入手した、のか?

 文月こと「FMV-BIBLO MC4」を使うことがめっきり少なくなっても、自分なりの究極のモバイルマシンへの夢は消えることはなかった。
 実は文月を購入する前に、非 WinCE のモバイルノートの1つとして、カシオのカシオペアFIVAも視野に入れていた。しかし、FIVA愛好者には申し訳ないが、店頭で触ってみた限り、画面の小ささとキーの打ちにくさ、そしてあまり普及型とも思えないハードウエア構成は、私の心を打つことはなかった。
 Windows CEマシンも考えていた時期があり、Victor Interlink CE を客先でいじらせてもらった(触った、より深いところまで)ことがある。Windows 9x やデスクトップキーボードに慣れている物にはなかなか扱いにくい代物で、何よりレスポンスがやや緩慢なのが我慢できなかった。Jornada やシグマリオン、ザウルスと色々触る機会はあったが、どれも今一であった。ただ、レスポンスはともかく操作性は NEC モバイルギアがピカ1だったので、実際にモバイルギア MC-R550 を購入しいろいろ使ってはみたが、やりたい世界を広げようとしたときに、やはり WinCE という OS の壁は自分には障害であった。手間とお金さえ惜しまなければ、WinCE だって使いこなせていけるはずだが、どうにもカスタマイズ心に火がつかないのは、単に WinCE 機のカスタマイズ性に依るのではなく、文月と同程度あるその横幅の大きさかもしれなかった。結局、今ひとつ魅力を欠くこととなった。
 Libretto 30 や 100 の頃の東芝リブレットにも触ったことがあるが、手が大きい私にはサイズが小さ過ぎであった。Lシリーズになってからのリブレットは、初期リブに比べて大型化したものの、使いやすそうなニオイは感じたので気に掛けていたら、友人がLibretto L3を購入。早速、触らせてもらった。キーボードの打ちやすさは絶品でとてもサブノートとは思えないほどだが、クルーソー独特の動作のもたつきと発熱、そしてキーボードの打ちやすさに反比例した筐体の幅の広さは、自分にとってはネックであった。
 ソニーの VAIO U も小ささと軽さでは確かに魅力だが、画面の小ささと外付けバッテリの出っ張りが気になり、値段は手頃でも購入候補には考えられなかった。

 ビクターの Interlink XP を知ったのは、今年の5月になってから。今冬に Interlink 欧州機などがコンピュータ関連のニュース等で紹介されていたようで、きっとパソコン雑誌でも話題になったのだろうけれども、全然覚えていなかった。というか、目に止まってなかったと思う。
 サイズは丁度 A5 サイズであり、妥当なサイズと思われた。重量の 880g は、モバイルギアの 770g よりは重いが、文月=BIBLO MC4 の 1300g よりは軽く、期待がもてた。ミニノートのほとんどがクルーソーCPUを採用する中、敢えて Intel CPU を採用してレスポンスを上げているというのも、魅力になった。上位モデルが ULV Pen3 であるだけでなく、下位モデルも ULV Cele であるのも見逃せなかった。ヘビーな作業を Interlink で行うつもりはないし、あまり発熱してくれても困るので、自分にとっては Celeron でも十分と言えば十分である。
 下位機種を買うと、増設メモリは積まれてないのだが、上位機種にはメモリスロットに 128MB の μDIMM がささって出荷されると言うことは、割と早い時期に下位機種への増設メモリも販売がはじまるであろうという勝手な予測ができる。仕様で気になったのは HDD。購入後にフラッシュディスクに交換するためには、というかそれ以前に OS を入れ替えるにはディスク換装を行う必要があるが、東芝ダイナブックに採用された 1.8"HDD などがうっかり採用されていたりすると、その時点で換装は絶望的となるのだ。なぜなら、1.8" コネクタ規格のフラッシュディスクも、CFアダプタも、市場には存在していないからである。事前情報では、IBM の 2.5"HDD、高さ 9.5mm が使われているらしいとのことで少し安心した。使用チップセットもそれほどマイナーなものではないらしく、OS 換装にも支障は無さそうなのが気に入った。

 OS の換装とは、すなわち Win98 に OS をダウングレードすることである。標準の Windows XP HomeEdition では、どこまでファイルを消して良いのかが何とも分からず、確かに時間さえ掛ければ試行錯誤して激痩せさせることもできるだろうが、ベースが NT Technology である以上、理想として描いているほどの「縮小OS」に最終的になってくれるとも思えない。文月と同じ手法で、Win98 を痩せさせていくのが、一番要望を満たしてくれるように思えるのだ。


 斯くして、MP-XP3210 を購入することに決め、自分にしては珍しくパソコンショップに予約を入れて発売日に入手した。

 ファーストインプレッション。
 筐体サイズはまさにイメージした通りの納得できる大きさで、外装の感触や重さもまあまあ良しと思える感じだ。画面の文字は、「小さいフォント」だと見づらく、大きいサイズにした。キーボードはやはり少し打ちにくいが、打鍵中心の使用にはならないし、こんなこともあるだろうと USB キーボードを買って対策済みなので問題はない。スティックタイプのマウスインターフェースは文月よりもかなり反応が悪いが、これも USB トラックボールを既に購入済みなので、問題なし。
 使っているともちろん筐体が熱くなってくるが、文月のようにカードスロット側が熱くなることはない。しかも、筐体の熱の持ち方から推すに、均一に廃熱している気がする。廃熱設計に結構凝っているのかも?
 同時に買った 専用 CD ドライブは、松下寿製の電源不要CD。どこかで見たことがあるなあと思ったが、調べてみれば文月に添付してきた CD ドライブと全く同一だった。買うまでも無かったかも。あちこちのノートパソコンにも付属していたり、専用オプションであるのかもしれない。型番「KME KXLC005」。

 XP3210 のシステムリカバリは、HDD内の隠し領域にあるイメージデータを元に行い、この領域が消されると有償修理の対象となるとのこと。やはりハードディスクは別のものを用意して改造していく事にしよう。
 まずは、Windows98 の導入と痩身だ。
 システムのプロパティは次の通り。どれくらいまで、Win98 用ドライバが手に入るだろう。



 ちなみに、いきなり此のページに飛んできた人の為に、なぜ MP-XP3210 を「師走」と呼ぶのか説明する。
 個人機のPCの命名ルールとして私は「月名」を採用している。英名で始めて既に1周りし、和名で付番していって、24番目のPCが「師走」となった次第である。




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