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IS01 痛化しました。



 構想から1年余り。
 遂に実現に至った、レーザーマーキングによるイラスト彫刻。





 









 詳しい話は下方に移動しました。
 まずは IS01 にレーザーマーキングしてもらうまでを、参考までにご説明します。

 マーキングでお世話になったのは、愛知県知多市にあるレーザー工房さんです。














 さて、今さらかもしれませんが、当方は佐天涙子スキー。
 今回は「アニメ・とある科学の超電磁砲」オープニング2に登場する、退屈そうな佐天さんをセレクト。















 キャプチャ画像をモノクロにし、更に色を付けて拡大印刷します。














 頭のてっぺんや髪の後ろが切れていますので、想像しつつ補完して、自分が納得出来る二値画像となるように下書きを書いていきます。
 瞳のハイライトなどは、この時点では仮でした。

















 サインペンで清書します。
















 スキャナで取り込みます。
 取り込みした画像サイズは2300×2000ドットくらい。
















 モノクロにし、トーン調整などで灰色部分を白くします。
 その後、グラフィックソフトのルーペツールなどを用い、輪郭を修正したりゴミを除去したりします。
 ちなみに私が使っているのは DaisyArt95。XP非対応で偶にバグりますが、使い慣れていますので。

 この二値画像を BMP 形式で保存した後、potrace というフリーソフトを使ってベクトルデータ(eps)に変換します。

 potraceの使い方は各所で紹介されていますが、一例として、下記サイトは詳しいかと思います。

 最強トレースソフト「potrace」
 http://www.e-dixie.net/article.php/20080228213627678













 生成した eps ファイルは IrfanView で確認出来ますが、Ghost Script が必要です。
 なお、potrace実行時に -c オプションを指定していないと、生成した eps ファイルを IrfanView で表示できません。


 ai 形式でなく eps 形式でも、レーザー工房さんでは受け付けてもらえました。














 原稿の出来の確認のため、テストは2回依頼しました。

 メールで eps ファイルを送り、数日後にマーキング結果を写真で返信してもらう形です。
 結果を見て元画を修正し、不安ならまたテストを依頼します。





 最終原稿は、マーキングの跡の色合いが逆転する場合を想定して・・・



 2種類用意し、本番加工の日の3日以上前までに、レーザー工房さんにメールで送っておきます。
















 そしていよいよ本番。
 レーザー工房さんの実店舗に赴き、IS01 実機を持ち込んで加工して頂きました。
 現地で写真を撮らなかったので、事後まとめになりますが・・・






 まずはレーザーマーキングで樹脂がどう変化するかを見る為のテストを行います。

 私は IS01 の裏面に名入れする形でお願いしました。
 向かって右半面の広い方で試さなかったのは、普段使っていて熱くなるのが右側なので、3G モデムを含むメイン機能がそちらに集中していると考えられたから。














 こんな感じにマーキングされました。
 手前の画像の乱れは画像処理です。

 マーキング跡が濃色になると分かりましたので、それを想定した原稿を採用することに決定です。














 この後、本番データをテスト用素材にマーキングして条件を確認するという作業を4〜5回行いました。

 マーキング条件確定後、マーキングサイズと位置を決定します。
 樹脂にマーキングしますので、あまり大きなサイズですと素材を過熱してしまう恐れがあります。
 LED へレーザー光が入ると壊れるとのこと。IS01 の天板中央の LED を回避するようにイラストの配置を見直しました。



 マーキングは、レーザーを弱い出力で始め、調整しつつ繰り返し行います。
 加工台から IS01 を移動させずにレーザー光を繰り返し照射します。同じ所をマーキングするので、色が濃くなっていきます。














 今回の場合は、4回のレーザー照射でこの仕上がりになりました。
 なお具体的なマーキングパラメータは聞いていません。



 本当を言うと、4回目の照射は自分としてはチャレンジでした。薄めの仕上げも気に入りそうだったので。
 けれどもブログで紹介することが念頭にあって、可能な限りマーキング結果を濃くしておかないと見た時にメリハリがなくて面白くないよなと考え、冒険に出ちゃいました。














 マーキング拡大図。
 シボ加工の凸凹の上と下でマーキング濃度が異なるのはレーザー光の焦点がずれるから。
 これはこれで面白い効果になったと思います。















 IS01 を使ってる間、天板を見ているのは自分ではないので、イラストはこの向きなのです。

 












 さて。
 「アイテムの痛化」というと、一般的にはカッティングシートを使ってイラストを切り抜き、対象物に貼り付ける場合が多いですが、今回はレーザーマーキングを試してみました。
 試してみたいと思った動機は、NECのレーザー刻印サービスを知ったから。NECの場合はノートパソコンを買うときの同時申込みサービスですが、持ち込みでマーキングしてくれる所もあるはずだと思い、レーザ加工の店を探すことから始めました。



 レーザーマーキングでイラストを彫刻した場合の特徴は

  ・消えない、剥がれないこと
  ・微細な線が描けること

であります。
 あくまでカッティングシートの場合と比べて、ということですが。
 消えないとはいえ、樹脂の場合は素材表面を極めて薄く焼くわけで、ヤスリなどで磨けば消えてしまうかもしれませんし、微細といってもマーキング機械の仕様や素材により表現出来る細かさは変わってきます。



 一方で、レーザーマーキングの特徴でもありデメリットでもあることですが

  ・単色仕上げになること
  
が挙げられます。さらに、実は単色にも条件がありますが、それは後述します。
 業者さんによってはレーザーでカラーの名入れなどされている所もありますが、それでも単色ですわね。



 以上を把握していればレーザーマーキングできるか、というと、これが少し難しい。
 レーザーマーキングを施してもらうにあたり、大きなハードルがあるからです。



  ・特に樹脂へのレーザーマーキングの場合、試してみないと結果が分からない
  ・一発勝負となるため、高額な品物や貴重な物への加工はほぼ断られる
  ・オリジナルイラストをマーキングする場合はパスデータを用意する


 樹脂へマーキングした場合について。
 マーキング部分の色がどう出るか、盛り上がるのか凹むのか平坦なままなのか、それらはやってみないと分かりません。また、あまりマーキングを重ねると、樹脂が溶ける危険性もあります。

 色がどう出るか、という点について。
 樹脂をレーザーで「焼く」のですから、焦げ目のような茶色〜濃灰色で仕上がるだろうと通常はイメージされます。ところが白っぽくマーキングされる樹脂もあるのです。アクリル板を針で引っ掻いて削ると白くなるようなイメージが近いかもしれません。
 単に「文字をマーキングしたい」ということであれば、素材に対して文字が判読出来ればよいのでマーキング色はさほど問題にならないかと思います。
 しかしイラストとなると、例えば普通にモノクロでイラストを描いて、それをそのままマーキングしてもらったときに、マーキング部分が白っぽくなる樹脂だったら、仕上がったマーキングイラストは白黒が反転した画になります。
 くどいようですが、それもやってみないと分からないことなので、

  ・通常通りに描いたイラスト原稿
  ・通常原稿を反転した原稿

の2種類を用意し、

  ・本番の前に実素材を使ったテストを実施する

ことが重要となります。

 マーキングを重ねる、という点について。
 レーザーの出力を弱いレベルから始め、同じ位置に何回もマーキングを重ねて濃くしていく加工になります。
 なるべく色を濃くしたくても、樹脂が耐えられないと傷めてしまう恐れがあり、しかもそれもやってみないと分からないところなので、オペレータの方と相談しながら作業を進めることになります。 


 高額な品物や貴重な物への加工依頼が難しいのは、当然と言えば当然です。
 万が一にも加工時にトラブルがあったとしても、お店が責任を負いきれる範囲は無限ではありません。
 リスクの方が大きいと判断されれば、お断りされます。
 携帯端末やミニノートパソコンなど、定価ベースでは高額商品ですよね。
 問い合わせしたどの加工店でも、1回目か2回目のメールで断られるか強い難色を示されました。


 マーキングイラストは、Adobe Illustrator の ai 形式ファイルで求められます。私が質問したマーキング加工店はどこでも同じ答えでした。
 一般のパソコンユーザは Illustrator など持ってないのではないでしょうか。ちなみに SAI もパスデータで保存しますが、SAI のファイルは NG とのことでした。
 これについては eps 形式で送るという代替策を講じ、それで話を進めることが出来ました。

 イラストの種類にも制限があります。
 元がフルカラーもしくはモノトーンの写真やイラストだと、樹脂にマーキングするには向きません。濃淡を表現するのに1回のマーキング時間が長くなり、樹脂に負担が掛かる危険性が高くなるからです。
 二値イラストでもベタが多いものは推奨されません。マーキング密度によっては、彫刻ムラが目立ってしまう場合があります。
 佐天さんのイラストは黒髪部分が多いので、レーザー工房さんからは「線画だけの方がキレイにいくだろう」とアドバイスされたこともあります。訪問時には彫刻ムラのサンプルも見せてもらいましたし、本番直前のテストでもムラの発生を確認、なくなる調整をしました。




 レーザーマーキングは、専門業者に任せるとはいえ、全くお手軽なもの、というわけではないのです。
 



 ここからは個人的な感想ですが。
 依頼者は、レーザーマーキングしてもらいたい気持ちを諦めずに業者さんに伝えるのと同時に、業者さんのできないことや不安を理解し、作業協力する必要があると思います。

 佐天さんのイラストの本番マーキング1回に要した時間は、実際に計測してはいませんが20秒前後といったところでしょうか。
 その20秒の為に必要なのは、マーキングオペレータの方の経験やスキルはもちろん、テストを重ねてきた結果のフィードバックです。
 入念に作業リスクを排除してようやく本番に挑み、成功を導き出すんですよね。

 プロで金取って仕事してるんだから黙って客の望む結果を出すのが当然だろ、と言う人もあるでしょう。
 確かにそれもそうかもしれません。

 私は自身の仕事とも重ねてみて、難しい案件なら業者さんと協力して実現率・成功率を高めたかった。
 原稿の手直し、作業立ち会い。全く厭いませんでした。
 マーキングそのものに興味があったこともあり、投げっぱなしにはしたくなかったのです。
 本番立ち会いは私が望んだことで、必須ではないでしょうけど。
 これも自分の仕事柄ですが、現場を見ることはとても重要だと思ってますし、何より好きなんです。



 今回のマーキングに使用したのはグリーンレーザーというマーキング装置。
 YAGレーザーに比べて出力が弱い為に、デリケートな樹脂マーキングにも使えるとのことです。
 日本に数台しか無い機械だそうで、地元のレーザー工房さんにその機械と、扱える高いスキルがあって良かったと思います。



 なお全加工賃は、試作代を含んで税込 6,800 円でした。交通費は含みません。

 レーザー工房さん、この度は大変お世話になりありがとうございました。
 




※補足
 レーザーマーキング構想は、もともと「NEC VersaPro VC に何らかのイラスト彫刻を施したい」所から始めたのですが、途中色々あって計画変更して今に至ります。
 去年にはまだ IS01 は無かったので、いちおう補足しておきます。

※この記事について
 記事up 2010/11/21。
 しばらく最上で紹介するつもりで11/30付けに。
2010年11月30日(火) No.173 (携帯スマホの話題::IS01 [閉])
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